2005年1月3日

椰子の木と白い砂浜。エメラルド・グリーンの海。まるで地上の楽園のようなタイの海岸の波打ち際に、腐敗ガスで痛々しくふくれあがった、血まみれの水死体がいくつも転がっています。インド洋で発生した大津波の犠牲者たちです。ドイツで今売られているニュース雑誌には、このような目をそむけたくなるような写真が、数多く掲載されています。

津波で生き残った人々の体験談も、悲惨です。死亡者の3分の1が子どもなど未成年だという説もあります。ドイツ政府は、タイやスリランカに自分で肉親を探しに行かないように、市民に呼びかけています。現地では通行止めの箇所が多いほか、疫病の危険も刻一刻と高まっているからです。

ドイツでは今回の災害について、「聖書の中に出てくるような規模」という表現がしばしば使われます。ノアの洪水のように、多くの人間の命を奪う津波だったせいでしょうか。もしくは、「この世の終わり」を思わせる激しさだったからでしょうか。

正月早々、人の命の脆さを目の前に突きつけられて、げんなりとさせられますが、この世界で現実に起きていることなので、直面するしかありません。

ドイツのテレビのどのチャンネルにあわせても、津波の話ばかりです。企業も社として義捐金を送るだけではなく、社員たちにも募金を呼びかけています。日本のマスコミも、ようやくお正月体制が終わったのでしょうか、昨日あたりから、今回の災害が、通常の規模ではないということに、ようやく気がつき始めたようです。